前回のブログは大変反響をいただきました。
皆さんそれぞれに、いろいろな考え方があって、なるほどなぁ、と感心させられました。
実は、前回のブログを書き終えて、アップする際に、削除した部分があります。
それは、消費者側の事、いわゆる皆さん(僕も含む)についてです。
高級ホテルや、旅館がやった事は、到底許される事ではないですが、
一方、○○産と言われて安心していた人、ホテルやから絶対に美味しいと、頑なに考える事を拒否していた
消費者の皆様も少しだけ、食事を楽しむという事を、今一度考えなおしてみてはいかがでしょうか?
○○産やから、美味い、不味い。
○○漁港直送やから、美味い。
著名人が絶賛したから、美味い。
安いから、不味い。
はたして、本当にそうでしょうか??
僕は貧乏性なんで、安いと聞けば、まず口に入れてみます。
そして、それは、自分にとって、その値段はアリかナシかを考えます。
そして、それが、世間の評価と離れていたら、ラッキーだと思います。
それは、ワインを選ぶ時も一緒です。
試飲会でも、まずはブラインド(値段、産地、ブドウの品種を隠して)一通り飲んでみます。
そうして、気になったものだけを後で、試飲ワインリスト表を見ながら、ピックアップしなおします。
そこで初めて値段を見てみて、良いと思ったワインが高かったら、なんと残念な事か。
そのワインが安かったら、それは、世間の評価と離れた、自分の美味しい領域であって、
間違っている訳でも、味オンチな訳でもないんです。
なんなら、皆が美味しいと言っているワインよりも、絶対安く手に入るじゃないですか。
そしたら、僕なら、その分皆様に安く提供出来ますしね。
一体皆様は、レストランに何をしに行くのでしょうか?
誰と行くのでしょうか?
そして、そのレストランに何を期待するのでしょうか?
うちみたいな店でも、フランス料理という業種から、どうしてもフォーマルに利用される事もよくあります。
接待や招待、お祝い事で利用されるのも、もちろん大歓迎です。
もっと味を楽しんで欲しいなんて、思ってはいても、言う事は絶対にしません。
それは、レストランなんていうものは、利用する人がそれぞれのニーズで、好きずきに利用すべきものだからです。
夜景がきれいなところ、お店の装飾が豪華なところ、気取らないところ、格好つけたいところ、リーズナブルなところ、とりあえず一軒目のところ。
それをこちらから押しつけるなんておこがましい。
ただ、今回の事で一つ言える事は、
お客さまはホテルのレストランに、何をしに行っていたのでしょうか?ということです。
こんな事言ったら爆弾発言かもしれませんが、ホテルの料理の原材料費に、あまりお金がかけられない事なんて20年前、僕が料理人1年目にホテルで働いていた時から当たり前の事であって。
雑な言い方ですが、コストパフォーマンスに期待して行くなら、絶対に行ったらアカンところでしょう。
ホテルのレストランは、同窓会や、パーティー、結婚式、宿泊など、それ以外の目的で言ったらいいんです。
ホテルのレストランで働いてる人は、コストパフォーマンスを求める時、絶対に自分のホテルにはいかないでしょう。
それなのに、普段空いてるスペースや、人(コック、サービスetc)を有効利用させようと、バイキングをしなあかんようになって、しかも、集まりの場に少し料理でもぐらいな、軽い気持ちでやってたのに、必要以上に、味に期待されるし、原価はかけられへんし、じゃあ、名前だけ高級にしとくか、ってなってしまって。
そんなんが意外と、今回の事件の核心なんじゃないかと思います。
さて、本題です。
僕が言いたい事は、ホテルの批判でも、皆様の批判でもありません。
一人ひとりがもっと、自分自身の価値観に自信を持って、自分なりのものさしを持ったらいいんです。
味?値段?サービス?雰囲気?スピード?
そんな一つ一つの細かい項目についてじゃなくて、先に言いました、食事を楽しむということについて。
すべてを満たしてくれるところがあったら、それはそれで何よりですが、今回の件で皆様がなんとなく思ってはる、ホテルのレストランや、高級店への絶対性は、多少は崩れたんじゃないでしょうか?
今日はどんな気分か自問自答して、
多少値段がはっても、ゆっくり味を楽しむ日なのか、
早く食べてさっと帰りたいのか、
味はそこそこでも、雰囲気の良いところでゆっくり話をしたいのか、
安くて腹一杯食べたい日なのか、
それを、すごく大変かもしれませんが、自分の足で目で舌で、それの一つでも満足させてくれるお店を、街場で探していけばいいじゃないですか。
そして今、街場のレストランでは、もちろん何の努力もしていないところも多いでしょうが、それと同じくらい多くのレストランが生き残りをかけて、店の英知を絞って、しのぎを削っていると思うんです。
もちろん、シェヨシもその中の一つに入っていると信じています。
そんなシェヨシの英知を結集した、ひとつの証明であります、『シェヨシ12月特別コース』のご案内、そろそろ届くと思います。
今年1年の締めくくりに、是非、よろしくお願い致します。
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- 2013/12/02(月) 23:33:46|
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